GitHub Copilot をお使いの皆さまが、Claude Code で「指示→生成→レビュー→修正」の往復を自分で回せるようになるための座学です。Copilot との違いを起点に、動作モデル・基本操作・プロンプト設計・CLAUDE.md の仕組みを、午後の演習4本につながる形で押さえます。
Claude Code は、ターミナルから対話しながらコードを読み書きするAIコーディングツールです。エディタ内で次の数行を補完する Copilot とは役割が違い、リポジトリ全体を見渡してファイルを横断的に編集し、コマンドを実行し、結果を確認して直すところまで自走します。
エディタの中ではなくターミナル。claude で起動し、自然言語で指示します。VSCode 内ターミナルからも使えます。
1ファイルの補完ではなく、プロジェクト全体。複数ファイルの読み取り・編集・コマンド実行をまたいで作業します。
指示 → 計画 → 編集 → 実行 → 確認のループを自分で回し、必要に応じて修正を重ねます。
| 観点 | GitHub Copilot(補完中心) | Claude Code |
|---|---|---|
| 主な操作場所 | エディタ内の補完・チャット | ターミナルでの対話 |
| 作業の単位 | カーソル周辺〜現ファイル中心 | プロジェクト横断(複数ファイル) |
| コマンド実行 | エージェントモードで実行可 | 標準で実行・確認・反復 |
| 永続的な指示 | カスタム指示ファイル等 | CLAUDE.md でプロジェクト規約を常時注入 |
対応環境は Terminal CLI のほか、VS Code 拡張・JetBrains プラグイン・デスクトップアプリ・Web 版があります。外部ツール連携の仕組みとして MCP(Model Context Protocol)にも対応しています。Copilot のエージェントモードを使ったことがある方は、その自走する感覚に近いものを、ターミナルからプロジェクト全体に対して行えると捉えてください。
Claude Code は「読む・考える・編集する・実行する・確かめる」を1つのループとして回します。皆さまの仕事は、ゴールを言葉で示し、出てきた変更を評価し、必要なら軌道修正することです。
ファイルの編集やコマンド実行など、影響のある操作の前には確認を挟めます。慣れるまでは一つひとつ確認しながら、何が起きているかを把握することをおすすめします。
「いい感じにして」では精度が安定しません。どのファイルの何を、どういう条件で変えたいのかを言葉にするほど、ループが短く・正確になります。具体的な指示の作り方は4章で扱います。
起動は、対象のプロジェクトフォルダに移動して claude と打つだけです。あとは自然言語で指示します。加えて、機能を呼び出す / から始まるスラッシュコマンドを覚えておくと操作が速くなります。
起動後はプロンプトに指示を書きます。たとえば「このスクリプトが何をしているか説明してください」「data/work_log.csv を集計する関数を追加してください」のように、ファイル名と目的を含めて伝えます。
| コマンド | 用途 |
|---|---|
/help | 使えるコマンドの一覧を表示する |
/clear | 会話の文脈をリセットし、別の作業を始める |
/init | プロジェクトを解析して CLAUDE.md の雛形を作る |
/review | 変更内容のレビューを依頼する |
よく使う指示は、自分専用のコマンドとして登録できます。プロジェクト用は .claude/commands/<名前>.md、個人用は ~/.claude/commands/<名前>.md に Markdown を置くと、/名前 で呼び出せます。ファイル先頭の YAML で説明や引数($ARGUMENTS や $1 $2)を指定できます。
チームで共有したいワークフローは Skills 機能でパッケージ化し、/review-pr のように配れます。
出力の質は、指示の質でほぼ決まります。Claude Code への指示は「何を・どこで・どういう条件で・どう確かめるか」を含めるほど安定します。曖昧な依頼は曖昧な結果を生みます。
| 要素 | 書くこと | 例 |
|---|---|---|
| Target(対象) | どのファイル・どの関数を変えるのかを名指しする | 「集計部分」より「summarize 関数」 |
| Goal(目的) | 最終的に何ができればよいかを書く | メンバー別の月間稼働時間を時間単位で表示する |
| Constraints(制約) | 使ってよいライブラリ、守るべき書式、変えてほしくない箇所 | 標準ライブラリのみ。既存の出力形式は変えない |
| Verify(確認方法) | どう動けば成功かを伝える | python3 app.py 2026-07 で合計が表示されること |
前者は何をどう直すかが推測に任され、結果がぶれます。後者は修正箇所と条件が明確で、想定どおり直ります。
大きな変更は一度に頼まず、「まず原因を調べて説明 → 直し方を提案 → 修正を適用」のように分けると、途中で軌道修正できます。意図と違う方向に進んだら、その場で「そうではなく〜」と伝え直せます。
CLAUDE.md は、プロジェクトのルートに置く Markdown ファイルです。Claude Code はセッション開始時にこれを読み込み、コーディング規約・アーキテクチャ方針・推奨ライブラリ・レビュー観点などを毎回の指示に上乗せします。プロジェクトの「前提」を一度書いておけば、毎回伝え直す必要がなくなります。
| 置き場所 | 適用範囲 | 用途の例 |
|---|---|---|
~/.claude/CLAUDE.md | 自分の全プロジェクト | 共通の書き方・言語の好み |
./CLAUDE.md | そのプロジェクト全体 | 規約・使用ライブラリ・レビュー観点 |
./src/CLAUDE.md | そのディレクトリ配下 | その領域固有のルール |
具体性の順にマージされ、下位ほど優先されます。ビルドコマンドなどはセッションを重ねるうちに auto memory として自動で蓄積されます。
演習③では、この CLAUDE.md を自分で書いて、書く前と後で生成結果がどう変わるかを体験します。
座学のあと、4つの演習を通して、簡易実装から不具合修正、総合演習まで段階的に手を動かします。各演習には参考プロンプトを用意した hints があり、詰まったら開けるようにしています。
| 演習 | 内容 | 座学のどことつながるか |
|---|---|---|
| 演習① 集計ツール | CSVを集計する小さなツールをゼロから作る(関数分割・クラス化まで) | 2章の動作モデル、4章の指示の4要素 |
| 演習② チケット管理 | 既存ツールを読み解き、絞り込みと集計の機能を足す | 1章のプロジェクト横断、4章の制約の付け方 |
| 演習③ 不具合修正 | 3件のバグを調査・修正し、CLAUDE.md の効果を体験する | 4章の段階的な依頼、5章の CLAUDE.md |
| 演習④ 総合演習 | 仕様書からログ解析ツールを一気通貫で作り切る | 全章の総仕上げ |
座学の内容は、午後に何度も実地で使います。今すべてを暗記する必要はありません。詰まったら本書とハンズオンガイドに戻り、必要なところを読み返してください。