ORIENTATION / 座学編

オリエンテーション 座学編
ターミナルから、プロジェクト全体をAIと動かす

GitHub Copilot をお使いの皆さまが、Claude Code で「指示→生成→レビュー→修正」の往復を自分で回せるようになるための座学です。Copilot との違いを起点に、動作モデル・基本操作・プロンプト設計・CLAUDE.md の仕組みを、午後の演習4本につながる形で押さえます。

2026年8月17日(月)・オンライン(Zoom)
演習4本(実装・機能追加・不具合修正・総合演習)
Copilot 経験あり・Claude Code 未経験の開発エンジニア向け
この読み物の構成
1-2章

Claude Code の全体像

Copilot との違いと、読む→計画→編集→実行→確認のループ。

3章

基本操作

起動・スラッシュコマンド・カスタムコマンドの作り方。

4-5章

指示の質を上げる

プロンプト設計の4要素と、規約を常時注入する CLAUDE.md。

6章

本日の進め方

演習4本の流れと理解度セルフチェック。

ORIENTATION 01

Claude Code とは

Claude Code は、ターミナルから対話しながらコードを読み書きするAIコーディングツールです。エディタ内で次の数行を補完する Copilot とは役割が違い、リポジトリ全体を見渡してファイルを横断的に編集し、コマンドを実行し、結果を確認して直すところまで自走します。

特徴 01

対話の場所

エディタの中ではなくターミナル。claude で起動し、自然言語で指示します。VSCode 内ターミナルからも使えます。

特徴 02

扱う範囲

1ファイルの補完ではなく、プロジェクト全体。複数ファイルの読み取り・編集・コマンド実行をまたいで作業します。

特徴 03

動き方

指示 → 計画 → 編集 → 実行 → 確認のループを自分で回し、必要に応じて修正を重ねます。

観点GitHub Copilot(補完中心)Claude Code
主な操作場所エディタ内の補完・チャットターミナルでの対話
作業の単位カーソル周辺〜現ファイル中心プロジェクト横断(複数ファイル)
コマンド実行エージェントモードで実行可標準で実行・確認・反復
永続的な指示カスタム指示ファイル等CLAUDE.md でプロジェクト規約を常時注入

対応環境は Terminal CLI のほか、VS Code 拡張・JetBrains プラグイン・デスクトップアプリ・Web 版があります。外部ツール連携の仕組みとして MCP(Model Context Protocol)にも対応しています。Copilot のエージェントモードを使ったことがある方は、その自走する感覚に近いものを、ターミナルからプロジェクト全体に対して行えると捉えてください。

SOURCES
ORIENTATION 02

CLI の動作モデル

Claude Code は「読む・考える・編集する・実行する・確かめる」を1つのループとして回します。皆さまの仕事は、ゴールを言葉で示し、出てきた変更を評価し、必要なら軌道修正することです。

あなたの指示
自然言語で伝える
読む
関連ファイルを特定
計画・編集
変更方針を立てて編集
実行・確認
コマンドで確かめる
あなたの評価
続けるか修正を指示

ファイルの編集やコマンド実行など、影響のある操作の前には確認を挟めます。慣れるまでは一つひとつ確認しながら、何が起きているかを把握することをおすすめします。

丸投げしない

「いい感じにして」では精度が安定しません。どのファイルの何を、どういう条件で変えたいのかを言葉にするほど、ループが短く・正確になります。具体的な指示の作り方は4章で扱います。

ORIENTATION 03

基本操作とスラッシュコマンド

起動は、対象のプロジェクトフォルダに移動して claude と打つだけです。あとは自然言語で指示します。加えて、機能を呼び出す / から始まるスラッシュコマンドを覚えておくと操作が速くなります。

03.1 起動と基本の流れ

cd 作業したいプロジェクトのフォルダ claude

起動後はプロンプトに指示を書きます。たとえば「このスクリプトが何をしているか説明してください」「data/work_log.csv を集計する関数を追加してください」のように、ファイル名と目的を含めて伝えます。

コマンド用途
/help使えるコマンドの一覧を表示する
/clear会話の文脈をリセットし、別の作業を始める
/initプロジェクトを解析して CLAUDE.md の雛形を作る
/review変更内容のレビューを依頼する

03.2 カスタムスラッシュコマンド

よく使う指示は、自分専用のコマンドとして登録できます。プロジェクト用は .claude/commands/<名前>.md、個人用は ~/.claude/commands/<名前>.md に Markdown を置くと、/名前 で呼び出せます。ファイル先頭の YAML で説明や引数($ARGUMENTS$1 $2)を指定できます。

--- description: 指定ファイルの単体テストを追加する --- $1 の関数に対して pytest のテストを追加してください。 正常系と異常系を最低1つずつ含めてください。

チームで共有したいワークフローは Skills 機能でパッケージ化し、/review-pr のように配れます。

SOURCES
ORIENTATION 04

プロンプト設計の基礎

出力の質は、指示の質でほぼ決まります。Claude Code への指示は「何を・どこで・どういう条件で・どう確かめるか」を含めるほど安定します。曖昧な依頼は曖昧な結果を生みます。

04.1 指示の4要素(Target / Goal / Constraints / Verify)

要素書くこと
Target(対象)どのファイル・どの関数を変えるのかを名指しする「集計部分」より「summarize 関数」
Goal(目的)最終的に何ができればよいかを書くメンバー別の月間稼働時間を時間単位で表示する
Constraints(制約)使ってよいライブラリ、守るべき書式、変えてほしくない箇所標準ライブラリのみ。既存の出力形式は変えない
Verify(確認方法)どう動けば成功かを伝えるpython3 app.py 2026-07 で合計が表示されること

04.2 悪い例と良い例

悪い例: このコードを直して
良い例: monthly_report.py の月末判定が 31 日を除外しています。 31 日も対象に含むよう filter_month を修正してください。

前者は何をどう直すかが推測に任され、結果がぶれます。後者は修正箇所と条件が明確で、想定どおり直ります。

段階的に頼む

大きな変更は一度に頼まず、「まず原因を調べて説明 → 直し方を提案 → 修正を適用」のように分けると、途中で軌道修正できます。意図と違う方向に進んだら、その場で「そうではなく〜」と伝え直せます。

ORIENTATION 05

CLAUDE.md の仕組み

CLAUDE.md は、プロジェクトのルートに置く Markdown ファイルです。Claude Code はセッション開始時にこれを読み込み、コーディング規約・アーキテクチャ方針・推奨ライブラリ・レビュー観点などを毎回の指示に上乗せします。プロジェクトの「前提」を一度書いておけば、毎回伝え直す必要がなくなります。

05.1 階層とマージ

置き場所適用範囲用途の例
~/.claude/CLAUDE.md自分の全プロジェクト共通の書き方・言語の好み
./CLAUDE.mdそのプロジェクト全体規約・使用ライブラリ・レビュー観点
./src/CLAUDE.mdそのディレクトリ配下その領域固有のルール

具体性の順にマージされ、下位ほど優先されます。ビルドコマンドなどはセッションを重ねるうちに auto memory として自動で蓄積されます。

05.2 書き方の例

# プロジェクト規約 ## 言語・スタイル - Python 3.10 以上。標準ライブラリを優先する - 関数には日本語のdocstringを付ける ## 守ること - 既存の出力フォーマットを変えない - 修正後は python3 で実際に動かして確認する

演習③では、この CLAUDE.md を自分で書いて、書く前と後で生成結果がどう変わるかを体験します。

SOURCES
ORIENTATION 06

本日の進め方

座学のあと、4つの演習を通して、簡易実装から不具合修正、総合演習まで段階的に手を動かします。各演習には参考プロンプトを用意した hints があり、詰まったら開けるようにしています。

演習内容座学のどことつながるか
演習① 集計ツールCSVを集計する小さなツールをゼロから作る(関数分割・クラス化まで)2章の動作モデル、4章の指示の4要素
演習② チケット管理既存ツールを読み解き、絞り込みと集計の機能を足す1章のプロジェクト横断、4章の制約の付け方
演習③ 不具合修正3件のバグを調査・修正し、CLAUDE.md の効果を体験する4章の段階的な依頼、5章の CLAUDE.md
演習④ 総合演習仕様書からログ解析ツールを一気通貫で作り切る全章の総仕上げ
触りながら覚える

座学の内容は、午後に何度も実地で使います。今すべてを暗記する必要はありません。詰まったら本書とハンズオンガイドに戻り、必要なところを読み返してください。

06.1 理解度セルフチェック

3問で振り返り
Q1. 大きな変更を Claude Code に頼むとき、結果が安定しやすい頼み方は。
  • 全部まとめて一度に任せる
  • 調査→提案→適用の段階に分けて頼む
  • 短い単語だけで何度も投げる

Q2. 別の作業に移るとき、前の会話の文脈が混ざらないようにするには。
  • そのまま続けて指示する
  • ターミナルを閉じてPCを再起動する
  • /clear で文脈をリセットする

Q3. 「修正後は必ず実行して確認する」を毎回言わずに守らせるには。
  • CLAUDE.md に規約として書いておく
  • 毎回の指示文の末尾に書き足す
  • 一度言えば以後のセッションでも記憶される